交通事故の慰謝料に税金はかかるのか
交通事故の被害者は治療費や入院費、車の修理代などの他に慰謝料をもらうこともできます。
慰謝料について「贈与税と所得税のどちらがかかるのか?」という質問をする人がいます。
結論を先に言うと、気になる慰謝料に税金はかかりません。
慰謝料は損害賠償の一種ですが、精神的な苦痛や肉体的な苦痛など、目には見えないものに対する金銭賠償となるのでイメージがつかみにくいです。
わかりやすくするために、目に見えるものに置き換えて考えるのがよいでしょう。
車を壊されて修理代として150万円がかかったというケースについて見てみます。
ここで、被害者に落ち度はなかったと仮定します。被害者は加害者から車の修理代を150万円もらいました。
もしもこの車の修理代に所得税・住民税がかかってしまったら、被害者は自分に落ち度はないのに税金分の損をすることになります。
損害賠償では原則として被った損害をすべて賠償してもらうことができますが、そこから税金がひかれてしまったら実質的には損害をすべて賠償してもらうことにはなりません。
そもそも、車を壊されて150万円の修理代がかかり、加害者から150万円の損害賠償をもらったというケースでは、被害者はいっさい利益を出していませんので、所得と考えるのはおかしいはずです。
慰謝料は事故にあったときに、「一生傷が残るかもしれない」「仕事を休んだことで出世に影響するかもしれない」「事故で痛い思いをした」といったような精神的・肉体的な損害に対して金銭で賠償してもらうものです。
目には見えませんが、被害者は受けた損害を金銭にして賠償してもらっているだけであり、いっさい利益を出しているとは考えられません。
そのため、慰謝料は原則として非課税となります。
しかし、これを利用して多額のお金を税金をかけずに他者に贈与してしまおうとする人がいるので、相場を大きく上回るような金額の慰謝料をもらった場合などには、贈与税がかかるケースもあります。